同一のシナリオをもとに、
動画技師とAI技術による動画制作を行いました。
子ども向け教材動画の制作を通して、
現時点におけるAI動画生成の実用性と今後の可能性を考察します。
第3ラウンド:動画作成対決
第3ラウンドでは、動画作成をテーマに検証を行いました。
当社動画技師とAI技術が、同一のシナリオをもとに、それぞれ動画を制作しています。
動画のテーマは、当社オリジナルキャラクター「あきらくん」が、横断歩道を渡る際の注意点を伝える子ども向け動画です。
制作結果
当社動画技師が制作したもの www.meisho-do.co.jp/tec2/owned/oudannhodou_01.mp4
AI技術で制作したもの www.meisho-do.co.jp/tec2/owned/oudannhodou_01AI.mp4
動画技師が作成した動画は、シナリオの流れに沿って構成されており、全体としてまとまりのある仕上がりとなりました。
子ども向けというテーマにも合致しており、キャラクターの動きや画面構成も分かりやすく、安心して視聴できる動画に仕上がっています。
一方、AI技術で作成した動画については、シナリオから大きく外れることはなかったものの、キャラクターの動きに不自然さが見られる箇所が多く、表現が難しい場面がいくつか確認されました。
内容としては意図が伝わるものの、細かな動きや間の取り方については、再現できない部分がありました。
AIによる動画作成の工程
今回の検証では、シナリオをすべて通してAIで動画化することは困難であったため、シーンを細かく分割し、工程を分けて制作を行いました。
タイトルやシーンタイトル用の静止画はChatGPTで作成し、動画部分については、シーンごとにAdobe Fireflyの動画生成機能を使用しています。


Fireflyでは、プロンプトに加えて「動画の最初のフレーム」と「動画の最後のフレーム」に参考画像を設定することが可能です。

ここに、キャラクターと横断歩道が描かれたイラストを読み込ませ、動画生成を行いました。
なお、これらのイラストもChatGPTで生成しています。


生成された動画は、おおまかにはシナリオ通りの流れを再現できていましたが、歩き方などの動きについては、不自然さが残る結果となりました。
ただし、数年前のAI動画生成と比較すると、ここまで構想に近い動きを再現できるようになった点には、技術の進化を強く感じます。
所要時間の比較
今回の動画作成における所要時間は、以下の通りです。
・動画作成技師:5時間
・AI生成:約4時間
今回は、すべてをAI生成のみで完結させることができなかったため、
AIで生成した複数の動画素材を手動でつなぎ合わせる工程が必要となりました。
第3ラウンドのまとめ
動画作成の検証では、現時点においてAI生成動画のみで実務レベルの仕上がりを得ることは難しいという結果になりました。
特に、キャラクターの自然な動きや、子ども向けコンテンツとしての分かりやすさといった点では、人の手による調整が不可欠です。
一方で、短時間でシーン案を作成できる点や、数年前と比べて表現の幅が大きく広がっている点から、AI技術の進化を強く実感できる分野でもあると感じました。
動画制作においては、AI技術をアイデア出しや簡易的な素材生成に活用し、最終的な構成や演出は人が担うという使い分けが、現時点では現実的な活用方法と言えそうです。
まとめ
本検証では、画像補正・装丁デザイン・動画作成の3工程について、当社の制作技師/デザイナーによる制作とAI技術を用いた制作を、同じ条件で比較しました。
第1ラウンドの画像補正では、人物レタッチのような限定的な修正であれば、AIでも十分に実用的な結果が得られ、作業時間の短縮にもつながりました。一方で、街の写真における広範囲の電線削除のように、背景の情報量が多く細かな補完が必要な作業では、ぼやけや形の崩れが発生しやすく、仕上がり面で人の調整が必要になることが分かりました。
第2ラウンドの装丁デザインでは、AIは短時間で複数案を出せる点が大きな強みでした。方向性検討やアイデア出しの初動としては非常に有効です。一方で、日本語の文字が崩れる問題や、国内のビジネス書で定番となっている「白背景+大きなタイトル」といった王道の表現は出しづらく、最終的な文字組みや完成形への調整は人の手が不可欠でした。
第3ラウンドの動画作成では、AIのみで実務レベルの品質まで到達させることは難しく、特にキャラクターの自然な動きや、子ども向け動画としての見やすさ・分かりやすさの面では、人の制作スキルが品質を大きく左右しました。ただし、シーン案や素材の生成を短時間で行える点、技術の進化速度の速さは強く実感できる結果でした。
以上より、現時点での結論としては、AIは「一部工程の高速化」や「発想を広げる」用途で非常に強力である一方、仕上がりの完成度を担保するには、人の判断と調整が重要であると言えます。
AI技術の長所を活かし、人の手で短所を補うことで、効率的で完成度の高い仕事が可能になります。
当社としては、AIを単なる代替手段として捉えるのではなく、制作現場に適した形で取り入れながら、品質を担保できる体制を整えていきます。
当社は、DTP技師の技能向上と同時に新技術の導入を行っていきます。

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