複雑なデータや情報を、図解やイラストを用いて
視覚的に分かりやすく表現するインフォグラフィック。
いくつかのAIツールを使って作成を試みました。
インフォグラフィック作成の検証
インフォグラフィックとは、情報やデータをイラスト、グラフ、図解を用いて視覚的に表現したもので、実用書籍や報告書、ウェブサイトにも多く使われています。
Googleが提供するNotebookLMには、読み込ませた資料をもとにインフォグラフィックを生成する機能があります。
NotebookLMを含む複数のAIサービスを用いて、実務で使用できる品質のインフォグラフィックが生成できるかを確認しました。
今回の検証にあたって設定した条件は以下の通りです。
情報源としているのは、当社が制作・発行しているMCR(明昌堂クリエイティブ・レポート)です。
媒体:日刊新聞の日曜版、特集記事
対象読者:小中学生向け
サイズ:新聞一面の半分
テーマ:視覚情報に対するアクセシビリティについて
情報源:MCR Vol.69 / 80 / 91
条件:カラー、図を5つ以上配置、外部情報を引用する場合は右下に出典を表記
一般的な新聞紙面は約406mm × 545mmであるため、今回は新聞一面の半分に相当する 400mm × 270mm を基準サイズとしました。

AIインフォグラフィック生成の課題
AIツールによるインフォグラフィック生成には、大きく分けて以下の2つの課題があります。
以下のAIツールごとの報告では、これらの課題に重点を置いて検証を行います。
1. 版サイズの指定
2. 日本語文字の描画精度
多くの画像生成AIでは、横長、縦長、正方形、16:9、4:3といった大まかな比率は選べますが、新聞紙面のように 400mm × 270mm といった具体的な版サイズを正確に指定することは難しい印象でした。

また、日本語描画についても、従来よりは改善しているものの、文字の欠け、誤字、意味の崩れ、ルビの不自然さなどが残り、現時点では調整が必要に感じました。
NotebookLM
NotebookLMでは、MCR Vol.69 / 80 / 91をソースとして読み込ませ、条件を指定してインフォグラフィックを生成しました。


イメージ

NotebookLMでは、出力形式としてインフォグラフィックを選択できますが、版サイズは細かく指定できず、縦・横・正方形のような大まかな選択に限られていました。そのため、今回は横向きで作成しました。
レイアウト自体は比較的まとまっており、小中学生向けの説明資料としては見やすい印象です。一方で、日本語の一部に崩れがあり、細部まで確認するとそのまま掲載するには修正が必要です。
また、横向き出力は一般的な16:9に近い比率となっており、今回指定した新聞半面サイズとは比率が異なります。したがって、紙面サイズに合わせた実務利用では、生成後のトリミングや再レイアウトが必要になります。
Nano Banana Pro
Nano Banana Proでは、サイズを直接ミリメートルで指定して生成を行いました。




レイアウト自体は全体的に良く、今回検証した中では日本語の描画も比較的安定していました。イラストの完成度や紙面としての見栄えも高く、視覚的な訴求力は強いと感じます。
ただし、新聞の“小中学生向けコラム”というよりは“ポスターや教材風”に寄り易い傾向にあると感じます。
一方で、指定した 400mm × 270mm に対して、出力画像の比率にはばらつきがありました。
プロンプトで詳細な指定を行っても、完全に指定比率へ合わせることは難しい場合があります。
Codex
Codexでは、Codex CLIというOpenAIのエージェント型AIを使用して生成を行いました。

この方法では、画像生成AIとは異なり、版サイズや比率を比較的正確に制御できます。今回の結果でも、指定した400mm × 270mmにかなり近い比率で作成できました。

一方で、ビジュアル面では他のモデルほどほど自然なイラストや質感を出すことは難しく、やや教材プリントやワイヤーフレームに近い印象になりました。
実務で使う場合は、デザイナーによる仕上げや、別途イラスト素材の追加が必要だと感じます。
ChatGPT
ChatGPTの画像生成では、レイアウトは比較的きれいにまとまりました。


特に、情報を複数の枠に整理し、アクセシビリティの仕組みを段階的に説明する構成は分かりやすいと感じます。
一方で、情報量が多くなりやすく、紙面全体で見たときにやや詰め込みすぎの印象があります。また、日本語の細部には崩れが残るため、こちらもそのまま掲載できる品質ではありません。
まとめ
今回の検証では、AIによるインフォグラフィック生成には一定の可能性がある一方で、実務利用にはまだ課題が多いことが分かりました。
特に、以下の2点が大きな制約です。
・指定した版サイズに正確に合わせにくい
・日本語文字を完全に正しく描画することが難しい
ビジュアルの完成度だけで見れば、Nano Banana ProやNotebookLMの出力は比較的高いと言えます。
しかし、新聞紙面としての正確なサイズ指定や、日本語の校正精度を考えると、そのまま入稿・掲載できる品質とは言えません。
一方、CodexのようにHTML/CSSで構成する方法は、サイズの正確性を制御しやすい反面、画像生成AIのような自然なビジュアル表現には弱さがあります。
したがって、現段階ではAI生成インフォグラフィックは、完成品としてそのまま使うものではなく、調整や修正を前提とするのが現実的だと感じます。
実務で使用する場合は、AIで生成した案をもとに、最終的には人の手で以下の作業を行う必要があります。
・版サイズの調整
・日本語文字の修正
・図版やイラストの品質確認
なお、AI生成のインフォグラフィックは、ツールごとに定められた規約を遵守することを前提に、商用利用が認められています。
ただし、AI生成物は著作権が認められにくく、既存作品と酷似した場合には著作権侵害となるリスクがある点にも留意が必要です。
以上のことから、NotebookLMを含むAIツールによるインフォグラフィック制作は、そのまま使用するのではなく、人の手による加工・調整を前提とした初期検討用途として活用することが現時点で有効であると思われます。

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