マンガのデータ制作では、バランスを調整しながら
各フキダシごとにセリフ文字を配置していきます。
今回、この文字配置作業をより効率的に行うための
InDesign用プラグインを開発しました。
従来のフキダシ文字置き方法
当社ではInDesignを使用し、完成済みのマンガ画像データを貼り込み、フキダシごとにテキストフレームを配置してセリフテキストを流し込むという手順で作業を行っています。
この際、テキストは単に流し込むだけでなく、フキダシ内に収まるように調整を加えたり、段落スタイルを使用して適宜書体を変更するなどの工程を踏んでいます。
今回、この文字置き工程における
「文字を流す」
「あらかじめ指定した段落スタイルを適用する」
「文字が入りきらない場合の調整」
という3つの処理を自動化するプラグインを開発しました。
使用するテキスト
セリフのテキストはExcelで、以下の状態で作成します。A列にセリフ、B列にはInDesignデータと対応する段落スタイル名を入れています。

プラグインパネル
実際のInDesign上のプラグインパネルは以下のような見た目です。「テキストを読み込む」ボタンをクリックしてテキストデータを読み込むと、このようにリスト表示されます。

パネル左上のスイッチをONにした状態で、InDesignの文字ツールで希望箇所にテキストフレームを作成すると、Excelで設定した順番で自動的に文字が流れます。
佐藤秀峰 作「ブラックジャックによろしく」 5巻より
作成したテキストフレームに⽂字が収まり切らない場合は、⽂字の級数・行送り・倍率(縦書きの場合は垂直⽐率)を適宜入る程度に自動で調整してくれます。改行位置の調整や位置の微調整は、適宜手動で行います。
従来の方法と作業スピードを比較
この見開きマンガに実際に文字置きした場合の作業時間を、プラグインを使用しない場合・使用した場合とで比較してみたところ、
プラグイン未使用:3分57秒 プラグイン使用:2分46秒

と、約1分10秒の時間短縮となりました。プラグインを使用することで、
- テキストフレーム作成
- テキスト流し
- 指示を確認してのスタイル適用
- フキダシに収まらない時の自動調整
が不要となります。上のサンプルでは、文字サイズや行間の調整が必要な箇所はありませんでしたが、そうした調整が発生する場面では、さらに高い時短効果を実感できます。
プラグインの活用により、手作業によるミスの削減と作業時間の短縮を同時に実現でき、結果として大幅なコスト削減にもつながります。
ご興味をお持ちの方は、ぜひ明昌堂までご相談ください。

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