▲字形変更例書体:A P-OTF 欅明朝 Oldstyle Min2 BモリサワパスポートMorisawaFonts文字詰め変更例書体:A P-OTF ぺんぱる StdN MモリサワパスポートMorisawaFonts差異1/2https://www.meisho-do.co.jp差異June 2.2025Meisho-do Creative Report Vol.85DTPにおいてフォントは非常に重要な要素の一つです。書籍などのコンテンツ制作にあたって留意しておきたい、フォントに関する最新の動きと当社の対応をご紹介します。■モリサワパスポート、LETSの今後 2023年に新規契約の受付を終了したモリサワパスポートは、長年にわたり出版・デザイン業界において標準的なフォントライセンスでした。代替として提供が始まった「MorisawaFonts」は、クラウド上でフォントを管理し、ユーザー単位でアクティベートできる仕様に変更されています。 なお、現在モリサワパスポートを契約中のユーザーは契約更新により最長で2028年12月末まで利用できます。しかし今後の制作環境の変化やデータ互換性を考慮すると、DTP制作やデザインを多く行っている作業現場においては極力早いうちに新サービスに移行しておくのが安全です。 LETS(Leading Edge Type Solution)は国内の主要フォントベンダーであるフォントワークスが提供するフォントセットです。「筑紫書体」など個性的な書体群で知られ、印刷物だけでなく映像、Webなど多様なメディアで活用されています。2023年、フォントワークスは米Monotype社に買収され、2025年3月には社名が「Monotype株式会社」へ変更されています。Monotypeとの統合により、REN FONTやたづがね角ゴシックなど個性的で多彩な書体が追加され、表現の幅は広がっています。 今後はサービス体系や提供書体も段階的に統合されていく見込みですが、旧来のLETSを契約中のユーザーは2024年11月以降契約更新ができなくなるため、新LETSの契約が必要となります。■移行時の注意点 新しいサービスへの移行には注意も必要です。移行に伴い、ベンダー側で一部書体の字形や文字詰め、マッピングの見直しが行われているため、過去のデータを再利用した際にInDesign上で文字や文字組が正確に再現されないケースがあります。文字化けや改行位置のズレなどを防ぐため、過去データの事前確認が重要です。当社では、フォント置き換えの際に発生する不具合の事前チェック、また移行前後の照合検査等も行っています。 新規作成する商品でも、デザイン、組版、製版の各工程で使用するフォントサービスを揃えておく必要があります。例えば、モリサワパスポート環境で作成されたデータをMorisawaFonts環境で開くと、やはり文字化けや文字ズレなどが発生する可能性があります。PDF/Xでの受け渡しであればこのようなフォントのトラブルは起きません。■クラウドサービスの現状 Adobe Fontsは、Creative Cloudに含まれるクラウドサービスで、欧文・和文あわせて数千種のフォントを利用できます。同じAdobe製品であるIllustratorやInDesignとは相性がよく、使い勝手の良いフォントサービスとして普及が進んでいます。 ただし、クラウド依存の特性上、制作現場では注意フォントの最新事情
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