デザインポートフォリオvol5
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行政法の法源とは行政が従うべき法の存在形式をいい、成文法源と不文法源に分けられます。成文法中心主義が採られていることから、成文法源が中心であり、不文法は補充的に適用されます。条約の内容がそのままでも国内法として通用する具体的内容を持っている場合、条約が公布・施行されれば、自動的に国内法としての効力を有し、直接、行政法の法源となります。地方議会で制定される条例だけでなく、地方公共団体の長が制定する規則も行政法の法源です。慣習も長年にわたり繰り返し行われ、法的確信を得るに至ると規範として拘束力を有することになり、行政法の法源となります。裁判所の判断である判例も同一内容の判断が繰り返される場合などにおいて行政法の法源となり得ます。成文法源が存在しなくても、当然に適用されると考えられる原則を「法の一般原則」(もしくは条理法)といい、信義誠実の原則、比例原則、平等原則などがあります。ここが重要!第1節 行政法の法源行政法の法源は、成文法源と不文法源の2つに分けることができ、成文法源には法律及び判例法が含まれ、不文法源には条理法が含まれる。特別区Ⅰ類2009判例法は成文法源ではなく不文法源です。条約は、その内容が国内行政に関し、自力執行性のある具体的定めを含んでいる場合には、それが公布・施行されることによって国内法としての効力をもち、行政法の法源となる。特別区Ⅰ類2014命令には、法律の個別具体の委任に基づく委任命令と、法律に基づくことなく独自の立場で発する独立命令があるが、いずれも行政機関が制定するものであるので、行政法の法源となることはない。特別区Ⅰ類2014独立命令は許されませんが、命令も行政法の法源となります。条例は、必ず議会の議決を必要とするので行政法の法源となるが、地方公共団体の長が定める規則は、議会の議決を必要としないので行政法の法源となることはない。特別区Ⅰ類2014長が定める規則も行政法の法源になります。行政権は、法令上の根拠がなければ行使しえないため、行政上の法律関係については、行政法の法源として慣習法が成立する余地はない。特別区Ⅰ類2009慣習法も行政法の法源として成立する余地があります。0102030405第1節×スピードチェック1819第1節 行政法の法源第1章 行政法の基礎理論行政法の基礎理論第1章第1編問題 5行政基準に関する次の記述のうち、最も妥当なのはどれか。ただし、争いのあるものは判例の見解による。国家一般職2023 1  行政機関が定立する規範を命令といい、内閣が定める政令、内閣総理大臣が定める内閣府令、主任の大臣が定める省令などがある。各大臣が公示を必要とする場合に発する告示は、行政機関の意思決定や一定の事項を国民に周知させるための形式の一つであり、法規としての性質を持つことはない。 2  法律が政令に委任しているにもかかわらず、当該政令が更に一部の事項について省令に再委任することは、法律から命令への委任が許される以上、原則として容認されていると解されるが、犯罪の構成要件を再委任することは許されない。 3  行政規則は、行政機関が策定する一般的な法規範であって、国民の権利義務に関係する法規としての性質を有しないため、法律の授権を要しない。また、命令の形式をとる必要はなく、内規、要綱などの形式で定めることができる。 4  解釈基準は、法令の解釈を統一するため、上級行政機関が下級行政機関に対して発する基準である。上級行政機関は通達という形式で解釈基準を示すことがあるが、解釈基準としての通達は、単に法令の解釈の指針を示したものにすぎず、上級行政機関による指揮監督権の行使として下級行政機関を拘束するものではない。 5  裁量基準は、行政庁の作成する内部基準であるが、行政手続法は、申請に対する処分についての裁量基準である審査基準を作成し、原則として公にすることを行政庁に義務付けている。この審査基準は恣意的な裁量行政を排除するためのものであるから、行政庁が審査基準に違背して処分を行った場合には、当該処分は当然に違法となる。正 解3 5は行政手続法を学習した後に確認しましょう。5以外の記述はきちんと正誤判定ができるようにしておく必要があります。 1  告示が法規としての性質を持つこともある 2 学習指導要領は告示の形が採られていますが、法規命令としての性質も有するとされています(伝習館高校事件)。 2   犯罪の構成要件を再委任することも許される第1節 4 常に許されるわけではありませんが、犯罪の構成要件を政令から省令に再委任することが許されていないわけではありません。 3   2 行政規則は、国民の権利義務に関係する法規としての性質を有しないため、法律の委任(授権)は特に必要ではありません。さらに、命令の形式を採る必要はなく、内規、要綱などの形式で定めることが可能です。 4   解釈基準としての通達は下級行政機関を拘束する 2 上級行政機関が、通達という形式で解釈基準を示した場合、解釈基準としての通達は、上級行政機関による指揮監督権の行使として下級行政機関を拘束するものとなります。 5  審査基準に違背した処分が当然に違法となるわけではない 行政手続法は、申請に対する処分についての裁量基準である審査基準を作成し、原則として公にすることを行政庁に義務づけています(行政手続法5条)。しかし、審査基準は行政規則として定められたものであって、裁判所を拘束するものではありません。したがって、行政庁が審査基準に違背して処分を行ったからといって、当該処分が当然に違法となるわけではありません。行政手続法については、第6章で学習します。ひとこと行政立法第2章第2節A難易度1011第2節 行政規則第2章 行政立法行政立法第2章第1編[デザイナー]上村知美シリーズの誌面リニューアルにあたり、全面的に刷新をはかったデザインを提案しました。現行版以上の読みやすさや、トレンド感、リニューアル感のあるあしらいを目指しました。シリーズが培ってきた安心感や信頼感といったイメージはキープさせたかったため、突飛な配色や装飾は控え、まろやかなトーンの章カラーを使用。老若男女問わず手に取っていただけるデザインとなりました。

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