明昌堂クリエイティブレポート
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 この異字体属性のバグによる文字化けを防ぐために、InDesignCS5以前か避ージ▲■バージョンを上げることによるトラブル InDesignのバージョンを上げる場合、CC以降のバージョン内では当社の経験上大きな崩れは発生しないようです。しかし、CS以前のファイルのバージョンアップには注意が必要で、特にCS5で大きな機能強化が図られた影響で、CS4以前からのバージョンアップには様々な危険が伴います。そのうち特徴的な2点を紹介します。①角Rオブジェクトの設定の変化 CS5より角丸の設定の仕様が変わり、角を個別に設定ができるようになりました。これが原因となり、CS4以前のデータをCS5以降で開くと角Rの設定値に不具合が生じることがあります(図①)。②異体字属性の伝染 CS4以前のデータからCS5以降にバージョンアップする際に一部の文字が化けてしまうことがあります。これは「異体字属性の伝染」と言われるInDesignのバグによるものです(図②)。このバグについては、チェック用のツールが開発されています。当社では、CS4以前のデータをCS5以降へバージョンアップする際、必ずこのツールを用いてチェックすることをルール化しています。■バージョンアップの工程 バージョンアップは書籍の改訂に先立って実施されることが一般的ですが、それは次のような工程で行われます。 まず、InDesignドキュメントを制作された時のバージョンで開き、全ページのPDFを書き出しておきます。その後、すべてのデータのバージョンアップ作業を行います。その際に、前述の不具合等の発生をチェックし修正していきます。バージョンアップ完了後に再度PDFを書き出し、デジタル検版機による検査を行います。新旧バージョンの上げ幅が大きい場合は、一旦中間バージョンに上げ、さらに同じ作業工程を繰り返します。 お客様へは、バージョンを上げた段階で一度校正ゲラを出校いたします。レイアウトの崩れの状態などをご自身でも確認いただきつつ、改訂用の赤字を入れていただき、その後の作業を進めていきます。 当社はこれまで数多くの作業実績があり、その経験とデジタル検査により精度の高く安全なバージョンアップが可能です。過去のコンテンツ資産をより長く活用するためにも、適宜バージョンアップを行うことをお勧めいたします。InDesignCS5以前から5以上に上げる際の異字体バグチェック方法 InDesignCS5以前からCS5にバージョンアップする際に一部の文字が化けてしまうことがあります。これは「異字体属性の伝染」と言われるInDesignのバグによるもので、特定の異字体属性の付いた文字の前後に書式スタイルの無い文字をペーストすると、その文字にも同じ異字体属性が付いてしまう InDesignCS5から、角オプションの仕様が変わり、角ごとに個別に数値を設定できるようものです。になりました。その弊害として、CS4以前のファイルをCS5で開くと、角オプションを使用 CS2~4では表面上この異字体属性が影響することはありませんが、CS5している箇所が崩れる場合があります。図①角丸オブジェクトの設定の変化では異字体の表示法の仕様が違うため、CS5に上げた際に字形が変わってし 可能性があるのは、4つの角以外にポイントが追加されたオブジェクトです。まう場合があります。以降Meisho-do Technical Note Vol.80Standard operations list CS52/2InDesignバージョンアップ時の異字体属性バグによる文字化けの回避対象商品InDesignCS5以前からCS5以降のバージョンアップする必要のある商品CS1〜4InDesignCS5以前から5以上に上げる際の異字体バグチェック方法 InDesignCS5以前からCS5にバージョンアップする際に一部の文字が化けてしまうことがあります。これは「異字体属性の伝染」と言われるInDesignのバグによるもので、特定の異字体属性の付いた文字の前後に書式スタイルの無い文字をペーストすると、その文字にも同じ異字体属性が付いてしまうものです。 CS2~4では表面上この異字体属性が影響することはありませんが、CS5では異字体の表示法の仕様が違うため、CS5に上げた際に字形が変わってし対応策図②異体字属性の伝染まう場合があります。 CS5に上げる前に、[オブジェクト]→[パス]→[パスを開く]でパス化しておきます。そうすれば、角オプションの設定は無効になるので、CS5で開いた時に崩れなくなります。概 要専用アプリによる異字体バグ検出対象者組版オペレータ対象アプリInDesignCS5以下→5以上(Takashi Kamimura)0026_120820(Takashi Kamimura)0026_120820◀角Rが設定されているCS1〜4のデータでオブジェクトに余分なアンカーポイントが追加されていると、CS5以上で開いた際に不自然な形状になってしまいます。◀CS1〜4では正常に表示されていた文字がCS5以上で開くと文字化けしてしまいます。これはInDesignのバグであり、専用のツールを使用したチェックが不可欠です。Meisho-do Creative Report Vol.50November 15,2019標準作業マニュアル標準作業マニュアルhttp://www.meisho-do.co.jp

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