明昌堂クリエイティブレポート
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■■筆算組版の現状 筆算は紙に書いて行う計算のことであり、小学校で習う課程ですから算数の学習教材には欠かせません。学習教材でなくとも理科系の書籍には数式が必ず使われますが、数式にはWordの数式エディタやInDesignのプラグインなど、様々な作成ツールが用意されています。しかし、筆算には標準的で使いやすいツールがありません。入稿も手書き原稿が主流で、組版も手作業で行っているのが現状です。 そこで当社では、筆算自動組版システムを開発しました。筆算原稿の入力フォーム、演算結果の確認、ソースファイルの作成、DTP原稿化までを一貫して行うことができます。小学校の算数ドリルの制作に、非常に効果的なツールです。■筆算自動組版システムの概要 当社で企画・開発を行った筆算自動組版システムは2つのプログラムから構成されます。1つは、筆算式の入力とソースファイルの書き出しを行う筆算生成プログラム「算ちゃん」、2つ目は算ちゃんから書き出されたソースファイルをIllustratorデータに変換する「筆算データ作成システム」です。 算ちゃんは、もともとフリーウェアとして配布されていたものを、当社独自仕様に改修したものです。四則演算すべてに対応しており、繰り上がり・繰り下がりの有無や、除算の余り桁数など、様々な設定をすることができます。問題式を入力するだけで、筆算の計算過程および答えが自動的に出力されます。この際、同時にcsv形式のソースファイルが作られます。 筆算データ作成システムは、算ちゃんから生成されたソースファイルを元に自動組版を行い、Illustratorデータを作ります。このプログラムは、筆算を問題部分、計算過程部分、解答部分と3つの部位に分け、それぞれに書体、級数、文字色を設定することができます。書体などの設定を変更することで、ひとつのソースファイルから様々な体裁の筆算問題が作成できることもこのプログラムの大きな特徴です。また、各部位は自動的にレイヤー分けされるため、問題集と解答集の作り分けも1つのデータから容易に行えます。■様々な用途での活用 算ちゃんはお使いいただける方々へ無償で配布いたします(Windows7以上のOSに対応)。算ちゃんを使えば誰でも簡単に筆算のソースファイルが作成できますが、当社で手書き原稿やWordデータをソースファイル化するサービスも行います。その活用範囲は学習教材の原稿作成ツールに留まりません。筆算をデータベース化すれば、複数の媒体で利用することができます。ユーザーが作成したソースファイルをオンライン入稿していただくことで、自動的に計算プリントが作成されるサービスも検討しております。Webでの活用をお考えであれば、SVG形式やJPEG形式で納品いたします。 お客様のご意見、ご要望をいただきながら、今後さらに活用の幅を広げていく予定です。筆算生成プログラム「算ちゃん」。計算式を入力するだけで、計算過程と解答が自動生成されます。分かりやすいインターフェースなので、誰でも簡単に扱えます。1/2http://www.meisho-do.co.jpMeisho-do Creative Report Vol.47December 01,2018当社の開発した筆算自動組版システムをご紹介いたします。学習教材のDTP原稿作成の省力化、正確化が図られるだけでなく、筆算データを様々なかたちで活用することができます。筆算自動組版システムのご案内

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